連載|第06回「筆者のセクシュアリティを分解してみた vol.04」

第06回の連載は、筆者が21歳の時に自分は男ではないと気が付き始め、 どうやって、他人から男だと勝手に判断されることへの対処や体への違和感の解消をしていったのかについてです。

筆者は、就職活動で男性用スーツを着たら、「他者に男だと勝手に判断される」ことから男ではないと気が付き始めました。自分が男ではないことに気が付き始めたことで体への違和感が言葉にできるほど表に出てきました。

どうやって男でないことへの対処や体への違和感を解消していったかというと、まだ対処や解消はできていません。筆者も人間ですから男ではないということへの対処や体への違和感を解消をしていくしかないです。これからずっと対処したり、解消していくしかないことを覚悟したといったらいいでしょうか。大袈裟ですけどね。

筆者は、2009年の春頃に東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)で放送されている「5時に夢中!」というテレビ番組を知りました。5時に夢中!でエッセイストの中村うさぎさんのことを知りました。ちょうどその頃は他者と関わることを必要最低限しかしなくなり、他者に自分を男だとされなないようにしていました。だから2009年の夏頃には大学と家の往復と買い物に出かける時しか家から出ませんでした。それで、筆者は本を読むことが好きで、中村うさぎさんのエッセイを週刊誌や本で読むようになりました。当時の中村うさぎさんのエッセイは女の人について書いてあったり、エッセイに登場する人の中にゲイの人がいたりしました。その中で「閉経」について書いてありました。閉経についてのエッセイを読んだら、筆者は「女の人が女について文章を書いたら、他者にそのことであることを言われて、不満に思う。女の人が女のことを語るのも大変なんだ。」と思いました。それで筆者は、自分のことを女だと思っていることに違和感がない人でも性に関することで他者から何かされてしまう(エッセイでは他者にそのことであることを言われてしまう)ということに気が付き、「性別に違和感があってもなくても大変」と思えるようになりました。

体への違和感というと、当時の筆者はどうにもできていませんでした。だから、なす術なしという状態でした。しかし、ある時、「タレントで性転換手術をしたMtFの人が女性ホルモン投与を数年しなかったら男性がかかりやすい病気になった」というニュースを知りました。病気になった原因は、女性ホルモン投与やめたことだそうです。そのニュースを知り、筆者は「人の体には女性ホルモンか男性ホルモンのどちらかが必ず必要。それなら、筆者は自分の体で作ることができる男性ホルモンを選ぶ。それでいい。」と思いました。筆者の性自認は、男でも女でもありませんし、他者に男だとも女だとも判断されたくありません。 しかし、体で作ることができる男性ホルモンによって男の人に見える見た目になってしまいます。 それを受け入れて生きていくしかないです。

筆者の体への違和感は無くなったわけではありません。しかし、人の体には女性ホルモンか男性ホルモンのどちらかが必ず必要だということを知り、体への違和感と向き合えるようになりました。2009年の時の筆者の体への違和感は、自分が男だと思われないようにするためにはどうしたらいいかという気持ちによって表に出てたので、今は、その気持ちが強いか弱いかで体への違和感の度合いが変わってきます。

次回の連載では、 22歳(2010年頃)の筆者が自分のセクシュアリティを自己紹介で「MtX」と言い始めた時のことをお話したいと思います。

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